輝かしい経歴のUSメンバーたちが日本発のポケトークに参画する理由
2022年10月1日
ソフトウェア・メーカー、ソースネクストが開発し、販売台数90万台を突破したAI通訳機「ポケトーク」は、
2022年2月にソースネクストからスピンアウトした「ポケトーク株式会社」が引継ぎ、世界に向けて新たなスタートを切りました。
ここでは、シリコンバレーを拠点に欧米市場を中心としたグローバル展開を牽引する米国チームの声を紹介します。
入社の決め手は「プロダクトの強さ」
ーーー ポケトークには、大手企業経営やプロスポーツ選手など経験豊富なメンバーが集結しています。
なぜ、日本発のポケトークへの参画を決めたのですか?
ジョー: 何と言ってもプロダクトの可能性に惹かれましたね。
ポケトークを手に取った瞬間「これは世界へのパスポートだ」と確信しました。アメリカには「英語が話せない人は不利だ」という定説があります。日常生活でも、ある程度の英語力がないと市民権が取れなかったり、良い職にも就けなかったりする。自分の本当の価値ではなく、英語を話せるか否かが判断基準になってしまうんです。
ポケトークは、グローバルSIM搭載の、名刺サイズのAI通訳機です。いつでも、どこでも、誰とでも、自由に会話することができる。このプロダクトを地球規模で展開していけば、「言葉の壁=コミュニケーションの壁」になりがちな社会にアンチテーゼを唱えられるかもしれない。これは面白い挑戦になるぞ、と震えました。
ジェフ: 僕が惹かれたのも、ずばり全世界で戦えるプロダクトの強さです。
もともと仕事仲間だったジョーからポケトーク翻訳機のことを聞いて、とりあえずAmazonで注文してみたんです。そして家に届いてからは、箱を開けることなく放置していました。家族の誰かが興味を持つか、複雑な操作はいらずに動くUXなのか、を知りたくて。
でも気づいたら、最初に箱を開けた妻と、説明書も読まずに4時間もポケトークで遊んでいました(笑)。すぐにジョーに電話して、「これは素晴らしい」「今すぐアメリカの市場で売るべきだ!」と熱弁しましたね。
ジョー: ジェフがチームに加わったことで、事業スピードが加速して助かっていますよ。
ポケトークは、質の高さが強みです。サードパーティの立場で世界中の翻訳エンジンを研究し続け、常に高い翻訳精度を保っているんです。これは日本でもアメリカでも共通だと思いますが、シンプルに、良いものは売れる。実際にアメリカでの売上は右肩上がりになっています。
英語が全土で通じるアメリカで、なぜ「通訳機」なのか
ーーー 英語でコミュニケーションが取れるアメリカで、なぜ通訳機で勝負できるのでしょうか?
ジョー: 実は、アメリカに暮らす人々の約14%は移民です。
共通語としての英語はありますが、それだと十分にコミュニケーションを取れない人が多くいます。
特にBtoBでは製造業、医療、教育、その他あらゆる分野で、職場の採用から業務遂行にいたるまで、言葉の壁がいたるところに存在しています。ポケトークは、アメリカ市場が求めていたニーズにフィットしていました。
リンジー: ビジネスの現場以外でも、「言語の壁」を感じることは多くあります。
例えば私には、フィリピン出身の義理の姉がいます。彼女の母語はタガログ語なので、アメリカにいる親族となかなかコミュニケーションが取れませんでした。
そんなときに出会ったのがポケトークです。実際に使ってみると難しい操作は一切ないので、自然な会話が生まれ、お互いが歩み寄れるようになったんです。ポケトークの役割は単なる「翻訳」ではなく、「コミュニケーションのきっかけ作り」だとそのときに感じました。
ポール: 人間である以上、言葉は欠かせないコミュニケーション方法ですからね。
ポケトークは、もはや空気や水と同じようなインフラと言っても過言ではないと思います。
「言葉の壁をなくす」ミッションの先にあるもの
ーーーポケトークの技術が進めば「言葉の壁」はなくなるのでしょうか?
ジョー: 「言葉の壁」はこの先10年といったスパンではなくならないでしょう。
歴史や文化と強力に結びついていますからね。ただ、私たちの間に立ちはだかっている「言語の壁」をできるだけ早く、そして低くすることはポケトークの使命です。
言葉の壁が低くなるということは、例えば共通言語を持たない人々が集まってきても、それが生涯の親友になるかもしれないということ。万能翻訳の技術で、私たちが互いに学び、感謝し、理解し合うことが容易になったら、世界はどうなるでしょうか。きっと、もっと優しい世界になれる気がしませんか?
つまり私たちが突き詰めるべき価値は、言葉の壁をなくすことではなく、何らかの理由で交流できていない人と人を結びつけることなんです。
ポケトークの製品はどれも、「人と人を結びつける」ということを実現するために設計されています。近年はオンラインコミュニケーションの機会も増えてきたので、さまざまなシーンで人と人をつなげられるように、小型翻訳機としてだけなく、iOS/Android向けのアプリや、リモート会議での多言語による同時翻訳を実現するソフトウェア「ポケトーク字幕」も展開しています。
リンジー: ポケトークは日本発のプロダクトなので、
「言葉の壁をなくす」というミッションをアメリカでも正しく伝える手法に苦戦しました。
例えば、日本では一気に社会へのプロダクト認知を広げるブランド戦略が重要だったので、タレントの明石家さんまさんを起用したマス広告を展開し、有名なプロダクトになりました。一方、全く無名の日本のプロダクトをゼロから売らなければいけないアメリカで、注力すべきは広告ではなく、時間をかけてストーリーを浸透させるPRでした。
具体的には、翻訳された文字の表示サイズを大きくするアップデートをかけた時、日本では機能を訴えましたが、アメリカ市場では社会背景を反映したストーリーを膨らませる方が多くの反響を得られたのです。
同じプロダクトで同じミッションを共有していても、場所が変わればアプローチが違うのは、グローバルチームの面白いところだと思います。
共通の目標を持つ、個性豊かで刺激的なファミリー
ーーー 最後に、ポケトークのチームメンバーの魅力について教えてください。
ジョー: それぞれが専門性を持っているので、自分の得意領域に専念して機能横断的に働けること。
同時に、みんなに共通の目標があるので、事業としてはブレないこと。これらは重要な特性だと思います。やっていることがバラバラでも、成し遂げるゴールは一緒なわけですから。
リンジー: 私たちは、皆それぞれに違うバックグラウンドを持っている大家族のようなものですよね。
本社は日本にありますが、国境はもはや関係なく、人と人をつなぐことに本気なグローバル企業だと感じています。
ジョー: そうだね。
我々はいつも、「人々をつなぐために言葉の壁をなくす」という自分たちの信念を、どのように後世へ残していくか話し合います。
私はポケトーク社に関わる前から2社の事業売却を経験していて、昇進とか、会社のトップを勤めること自体に興味はありません。そんなことよりも我々の周りの社会をどう良くできるかに関心があります。毎週金曜日にちょっとしたミーティングをしていますが、そこでいつも「今週、あなたは株主やプロダクトの利用者を喜ばせるようなことをしましたか?」とチームに問いかけます。そして全員がそれに答えないといけません。それが我々のビジネスに対する考え方です。
ポケトークは世界的なキャンバスのようなもので、好きなように絵を描いて、クリエイティブに、自分が作れる一番美しい絵を描けばいい。そして、すべての従業員にその機会が与えられています。そのキャンバスを一緒に彩ることにワクワクを感じてくれる仲間と仕事をしていきたいですね。